【ホラー/怖い話】百物語のある噂【ぽち】

これは俺が、『怖い話』が好きな人間を集めて行ったオフ会の時起こった事だ。
もちろん、今回参加してなかった『怖い話』好きの人間達は喜んでこの文章を読むのだろう。

だが、本当に注意して欲しい。
これは、本当に起こった“実話”なのだから―。

「なー、こうやってオフ出来るなんて思ってなかったよ」

「ね、離れて住んでる人間がこんなに集まれるなんて」

「しかも、内容が『怖い話好き』っていうアングラな感じ?」

「サイコーじゃん、ねー」

俺の家で5人、ネットで知り合った怖い話好きな男女が集まっていた。
全員成人済みなので、ビールやらツマミやら持ち込んで、夜も更ける中わいわい談笑して。
内容はというと、もちろん全員の興味の種である『怖い話』の話題でもちきりだった。

酒の勢いもあって、騒いでいる途中に一人が言った。

「なーなー、今から百物語しねぇ?」

百物語とは、今俺達の間で話題になっていたものだ。
部屋を暗くして、怖い伝承や、実際にあった話でも何でもいい、怖い話を百個話終わった瞬間、何かが出現する、というものだ。
だが、その起こる“何か”は、誰にも知らされていない。

俺達は、その“何か”に吸い込まれるように、百物語を始めた。

最初の方はスルスルと話が出てくるが、いくら怖い話に精通している俺達でも六十~七十話くらいの辺りでダれてくる。

「あと何あったっけなー」

とか言いながら、俺の前の奴が話し終えて、俺の番になった瞬間だった。

丸い球状のものが、ふわ、っと見えた気がしたのだ。

「おい、カメラカメラ!!」

俺は思わず、声を上げてカメラで部屋を隅から隅まで撮った。
するとどうだ。
部屋中に、球体の白い浮遊物が写っている。

「おい、見ろよ!オーブだぜ、オーブ!」

俺が写真に写った白い球体を見せると、突然場の空気が変わった。

「…なぁ、これヤバイんじゃね?」

「そういえば、何かぞわっとしてたのよね…背筋が凍るっていうやつ…?」

え、何か俺、悪いことしたか?
気持ち悪がる奴らに対して、むしろ何考えてるんだ、と思ってしまう。
元々、俺達は怖いもの好きで集まったんだろ?
もう少しで“何か”が解るんだぜ?喜ぶべきだろ。

「な、何言ってんだよ…せっかくここまで来たんだぜ…?あと30話くらいで“何か”が解るんだ、続けないのか?」

そう言った途端…。

「ひッ!!!」

ふと、女子の一人が短い悲鳴を上げた。
その女子を全員で見ると、恐る恐る目の前にあった窓に向けて指した。

そこには、うっすらと、真っ白い顔が、にたり、と笑っている。
そして、全員が確認するのを待っていたかのように、その白い顔は消えた。

「な、何だよこれ!?」

「マジかよ…」

「ねぇ…もう帰りたいよ…」

全員が弱音を吐く中、俺だけがノリ気だったのかもしれない。
ここまで来たら最後までやってやる。そういった気持ちだった。

「さ、いくぞ。これは、有名な話なんだが…」

「おい、まだ続けるのかよ!?」

「正気の沙汰じゃない!やめろよ、見ただろ、あの顔!!」

全員から怒号が飛び交う中、俺は一人で話を続けた。
泣きじゃくる女どもの声や、もう諦めたかのように座り込んだ男ども。
俺は一人で、どんどん話を進めていった。

そして、ついに九十九話目が終わった。

「…はは、皆もう怯えなくてもいいんじゃね?あれ以来何も起こってないぜ?」

しかし、俺の言葉に何も返事はなかった。
その代わり、こんな声が聞こえてきた。

「…そして百話目…」

え、誰だ、この声。
聞いたことないぞ、こんな声。

どこか気持ちの悪い、低く響くような声。
その声が、勝手に100話目を続ける。

「百物語を行った者は、全員消える」

その声が聞こえて来た、その時
「…これが、今回の記事の全てです。」

僕が書いたこの記事に、編集長は太鼓判を押した。

「…この内容、いいじゃないか!お前、いい記事書けるようになったな!」

僕は、このおっさんは本当に何も知らないんだな、と思った。
この記事に含まれる『百物語』は巷では有名な都市伝説だ。
最後の展開さえいろいろと疎らなものの、この展開が一番多かった。

もちろん、僕はこんな馬鹿な検証はしない。
そう、所詮誰かがでっち上げた都市伝説だ。
地名も名称も全部仮のものを使っているし、問題ないだろう。

すると、編集長が言った。

「これだけの記事なんだ、誰かに検証してもらう必要があるな…。」

…まさか。
何考えてるんだ、このおっさんは。

「なぁ、お前。いつ予定が空いてる。」

え、な、何で僕に話を振ってくる…?
こんな薄気味悪いこと、自分で検証すればいいだろ!?

「俺の部下を何人か集めてそっちに回す。オーブとか何か証拠も取って来い。」

何故だ、僕は編集長の言うテーマに添った記事を書いただけ。
なのに、こんな検証で、自分の命を危険に晒したくない…!

…え、何を僕は恐れている?
大丈夫だ、所詮は都市伝説、何も起こらないだろう。
どう足掻いても、オーブが撮れればラッキー、位だ。

そして、僕はどうしてもその話が気になり、詳しく調べた。
百個怖い話を集めなきゃいけないんだ、さすがに検索しなきゃ百個も怖い話を暗記出来ない。

そして、僕は辿り着いてしまった…。
『これは、僕の友達の友達から聞いた話だ…』
その記事には、僕の書いた百物語とほぼ同じ内容が書かれていた。
が。
一箇所、違う点を見つけた。

詳しい地名や、その事件が起こったマンションの場所や部屋番号まで。
本当に、事細かに書いてある。

僕はその記事を読み返し、ふと、思い出した。

…この地名、ニュースで見たことある気が…。

僕は詳しくニュースの過去の記事から洗い直した。
すると、この記事の内容が出てきたのだ。

『集団失踪事件』。
記事のタイトルには、そう書かれていた。

某地域の某マンションの一室に集まった若者が、一夜にして行方不明になったという。
捜索届けが人数分出たらしいが、その後誰も見つかっていない。
噂で一番多いのは集団自殺だが、次に多いのが例の怖い話、『百物語』だ。

僕は、その記事を見た途端背筋が凍った。

僕は、この行為を行わなければならない。
そして、自殺でも失踪でもない、消えてしまう可能性がある。
そんなことで、僕はこの世から消えてしまうのか…!?
…ついにその日が来た。

可哀想に、編集長に無理を言われて集まった生贄達が、僕と同じ部屋で円を成しながら座っている。

「じゃあ、後はよろしくー。」

そう言って、編集長は部屋から去っていった。
気まずそうに僕達は顔を見合わせた。
僕達は同じ部署だ、この噂は嫌というほど見てきたからだ。

しかし、もうこうなっては始めるしかない。

僕は小さく手を上げて、言った。

「じゃあ、僕からいきます。一話目…」

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ABOUTこの記事をかいた人

初めまして、ぽち。と申します! 画像は頂き物です。 流浪の物書き、とか名乗っておいて普通の犬です。 とにかくものを創るのが好きです。 特にわたしは文章や台本、詞等で世界観を作ることが好きです。 でも、たまに歌ったりするのも好きなのです。鼻歌です。 こんな犬ですが、どうかよろしくお願いします!