OVER ENDING【スピンオフ】なぜコウヤはモテないのか

ゲスト声優様

リンクボイスは小鳥遊 小夏さんに演じていただきました!
Checkyoutube→小夏の台詞置き場

 

女の子は生まれたころから、白馬の王子様に憧れているんです。花畑で困ってる私を、通りすがりの白馬に乗った王子様が助けてくれるって、信じてるんです。
皆はこれをただの妄想だって言うんですよ。まぁ、当然ですよね。確かに非現実的で絵空事と言われても返す言葉もありません。友人に「え~王子様~!その夢が許されるのは小学生までだよね~」と言われても、否定できないんです。
でも、それでも私はそれが夢とか絵空事じゃないってことを知ってるんです。誰がなんと言おうと、私にはその白馬の王子様がいるんですから。

田舎の友人へ
私、高島望たかしまのぞみには佐藤晃也さとうこうやという名の白馬の王子様がいるんです。

最初に知り合ったのは、学校から近い駅でした。遠い田舎から引っ越してきた私は都会の圧迫感にやられて右往左往していたんです。困り果てた私はどうにか誰かに助けを求めて通りすがる人達に話しかけたのですが、誰も話を聞いてはくれなかったのをよく覚えています。でも、コウヤ君は違ったんです。もう諦めようとしていた時、私の肩にそっと手を置いて私を落ち着かせてくれた上に困っていた私を助けてくれたんです。
あの時のことは今でも忘れていません。というか、忘れるわけがありません。
直観だったのかもしれませんが、なんの根拠もないのですが、あの場でコウヤ君の顔を見て私は彼が私の運命の人、即ち私の白馬の王子様だと悟りました。
その後も学校で見かけたときには本当に運命で結ばれていたんだと思っていました。当然、今でもそう思っているんですけどね。

でも、コウヤ君を狙っている女狐は私のクラスにも結構いるんですよ。例えば隣に座っているせきさんとか、クラスの反対側に座る彩音あやねさんとか。正直、名前を挙げればキリがありません。それくらい、私のライバルは多いんです。
だからと言って、私が引き下がるわけがありません。最後まで、少しでも可能性があれば私はそれに向かって戦う女なんです。最後の最後まで身を挺して戦う、女騎士なんですよ。
やや、早く顔をノートで隠さないと。こんな一人で笑ってる人を見たら、コウヤ君だって引いてしまいます。コウヤ君に変な姿を見せるのだけは避けなければなりません。

 

「ってあれ、ユナちゃん何してるの? ノートなんて明日まで借りちゃえば良くない? オレよく借りてるぜー!」

噂にすれば影が差す。早速登場です。このように、コウヤ君は休み時間か昼休みには私のクラスに来るんですよ。あぁ、今日のコウヤ君もカッコいいですね。
そういえば、まだ私の最強のライバルを紹介していませんでしたね。
最強のライバル、それはたった今コウヤ君の隣にいるあの女性、ユナちゃんです。と言っても、ユナちゃんは別にコウヤ君を狙ってるわけではないので、ライバルとは言えないかもしれませんが、私個人としては彼女をライバル視しないわけにはいかないんですよ。
なぜって? だって、いつもコウヤさんと一緒にいるじゃないですか! 私だって、私だってコウヤさんに話しかけたり一緒に廊下を歩いたりしたいのに!

 

って、あれ? おかしいですね? これは錯覚か何かですか? なんででしょう、本当に可笑しいですね。

何でコウヤ君が私に近づいて来ているように見えるんでしょうね?

「なあなあ! 悪いんだけどよーお願いがあるッス! オレら選考会行かなきゃなんねーからさ、このノート明日まで借りてもいいか? なんだったら今度埋め合わせするからさッ、一生のお願い! ダメかー??」

幻覚じゃなかったようです。今、現在、私の目の前には正真正銘本物のコウヤ君が立っていて、私に話しかけてくれてるんです!それも、私を頼ってくれるだなんて……夢の方がまだ現実味があるくらいです!
だ、ダメです、私! 落ち着いてください! こんなに慌ててはコウヤ君に変な誤解をされるかもしれません! さぁ、落ち着いてください。すーはーすーはー。よ、よし、少し落ち着きました。
あとはいつも通りの笑顔で、何の変哲もないかわいい笑顔で笑って返事をするだけです。

 

「えっえっ! うそーっ佐藤君も選考会に参加するんですか? だったら私も参加しようかなぁ」

60点、まだまだ甘いです、私。緊張しすぎて、苗字で読んでしまうだなんて、失点です!口調も変ですし! 明るくしすぎでしょうか……? あぁ、もうこんな機会滅多にこないのに、何で私はいつまでもこうなんでしょうか。もう少し余裕をもって対応できれば、今頃私はコウヤ君と……
って、妄想に浸ってる場合じゃありません。さっきも言った通り、もうこのようなチャンスはないんです。もっとグイグイ攻めていかないと。

 

さ、さりげなくです。さりげなくコウヤ君に接近して、隣をね、歩いてみても別にバチは当たりませんって。ね? ほら、コウヤ君何も言いませんよ? というか、今私を見て少し笑いませんでした? いや、確かに今のは笑顔でした! 確かに笑うのを私は見ましたよ! いやぁ、今日は本当に最高の日ですね!

 

それからの事、私とコウヤ君は楽し気に会話を交わしたのです。道中、コウヤ君の隣の間君から『なにアイツ、いつリア充爆発するの?』みたいな視線がコウヤ君に向けられていましたが、気にしないことにします。と、ここでまたもや参上、ユナさんです。

「待っててくれてありがとっ!でもさー、更衣室は男女別々なんだから私の事、待たずに先に行っても良かったんだよっ?」

「はっはあぁーん……? ナユ……、さてはユナちゃんの着替えをこっそり覗くつもりだっただろ?! そうだろ?! 相変わらずむっつりスケベめ!」

私は今の言葉を聞き逃したりはしません。といいますか、私というより女性全員に備わった機能の一つなんです。“着替え”と“覗き”という言葉が重なったときに作動するセンサー。それが冗談であれなんであれ、我々女性陣はこの言葉を聞けば自動で警戒態勢を高めるようになっています。

「覗、き……え、そうなんですか? 間君ってそういう事する人だったんですね」

確かに、男性がそういった事に興味を持つことはわかります。理解はしているんですよ。でも、それを受け入れられるかは別問題なんです。
ちなみに、私は受け入れられません。そんなの普通じゃないですか。覗きですよ、覗き! 私も昔一度、男子に着替えを覗かれた時がありましてね、あの時の出来事を思い出すだけで体が金縛りにあうかのように固まってしまうんです。

「「ッんなはずないだろッ!!??! 覗かねぇよッ!」」
「まった、またぁ~。ナユ君? 声裏返ってるぞぉ?」
「しつこいぞ! 覗かねえっての! ……あとそれからッ。正しく言うなら『こっそりと着替えを覗くつもりだった・・・・・・』だから。変な所強調しなくていいから!!」

この人、本物です。本物の変態さんです。
本気で、こっそり着替えを覗くつもりだったんです。間君、少しでも先程の“覗かない宣言”を信じた私がバカみたいじゃないですか。この人は本物です。私の理性が、本能がそう叫んでいます。今すぐにでも逃げろって警告をならしてるんです。

「え、なんでそんなに覗きに詳しいんですか? 間君って変態だったんですね。近寄らないでください」

 

もう無理です。控えめに言っても“生理的に無理”ってくらいです。女性の天敵です、間君は。コウヤ君と一番仲いいからいい人だと思ってました……、仲良くなりたいなと思ってました……、しかし気が変わりました! この人には、今をもって近寄らないことにします。もう決めちゃいました。もう変えられません!

「大丈夫、大丈夫ー。二人が着替えている間、オレがしっかり見張っとくからさっ!」

あぁ、流石コウヤ君! 頼もしいです! 私をあの人間以下のゴミ虫から守ってくださるんですね! もういつ見てもやっぱりコウヤ君はかっこいいですね!
そして、私たちはあの間って名前の虫を置いて女子更衣室に足取りを向けました。ユナさんも一緒にいますが、別に今はそんな事関係ありません。といいますか、そんなことに気を取られる暇があるならコウヤ君のことを見ていろって話です。
三人で仲良く女子更衣室のドアを開けて、私たちは着替えの準備に取り掛かります。実際、このライフスーツは着るのに時間がかかりますが、ストッキングよりは楽なんですよね。このように、脱ぐのも結構面倒なんですよね。中に手を入れて広げてから……って、あれ? なんで皆さん、こちらの方を見てるんでしょうね? あれれ? 私なにか変な事しましたか?

「やっべぇ、これがユートピアってやつ……?! 」

そして、私は声の方向に振り向いてしまったんです。そう、振り向いてしまったんです。ちょうど私の後ろにいるコウヤ君の方に、振り向いてしまったんです。

「はッ!? ワタシハ木……ワタシハ木……」

そうコウヤ君が言ったころにはもう全てが終わっていました。

「「キャアアアッ!!」」 「「何で男子がああああコッチに入って来ンだゴラあああぁぁッッ!!」」

もう、頭が回りません。コウヤ君が、覗きをしている。今、私がストッキングを脱ぐのを見ている。みんなが肌を晒しているのを見ている。

 

コウヤ君が、女子更衣室で覗きをしている。こっそりでもなければ、堂々と。面と向かって、私たちの肌をなめるようにジロジロ見てきている。
信じていた、憧れていた、好きだった、私の王子様だった・・・・・・コウヤ君が、覗きをしている。

もう、何もかもが真っ白になって、何も考えられません。
ただ私の体は正直だったのか、それとも私が意図的にそうしたのかは今でもわかりません。

「 「 「出ていけええええええーっ!!!」 」 」

ただ一つ確かなのは、いつの間にか私は、コウヤ君を拳で殴り飛ばしていました。
田舎の友人へ
P.S. 白馬の王子様なんて絵空事でした

◇OVER ENDING【スピンオフ】なぜコウヤはモテないのか

各話サブタイトル作者
登場人物紹介こちらNORA×絵師様
プロローグ/第0話主人公補正KAITO×NORA
第1話偽りの始まりKAITO×NORA
第2話A.シャンプーKAITO×NORA
第3話ミス・パーフェクトKAITO×NORA
第4話馬と鹿KAITO×NORA
第5話忍者だってッKAITO×NORA
第6話トレードオフKAITO×NORA
第7話正義と欠陥KAITO×NORA
第8話死に急ぐ者KAITO×NORA
第9話友の追悼KAITO×NORA
第10話四番モニターKAITO×NORA
第11話ボーナススコアKAITO×NORA
第12話試験範囲KAITO×NORA
第13話アルファリーダーKAITO×NORA
第14話トレジャーハントKAITO×NORA
第15話チェックシートKAITO×NORA
第16話レバガチャKAITO×NORA
第17話記念写真KAITO×NORA
第18話手応えKAITO×NORA
第19話仲裁KAITO×NORA
第20話気遣いKAITO×NORA
第21話不貞寝KAITO×NORA
第22話ナカヨシKAITO×NORA
第23話ハーフタイムKAITO×NORA
第24話ルート分岐KAITO×NORA
第25話リアシートKAITO×NORA
第26話レストランKAITO×NORA
第27話夜の景色KAITO×NORA
第28話アクビKAITO×NORA
第29話ネクタイKAITO×NORA
第30話ドラゴンブレスKAITO×NORA
第31話尻尾KAITO×NORA
第32話反省会KAITO×NORA
第33話ノーデリカシーKAITO×NORA
第34話待ち時間KAITO×NORA
第35話キョウイKAITO×NORA
第36話リプレイデータKAITO×NORA
第37話初見明人KAITO×NORA
第38話ラクガキKAITO×NORA
第39話模範解答KAITO×NORA
第40話レシピKAITO×NORA
第41話実技本戦KAITO×NORA
第42話ファーストブラッドKAITO×NORA
第43話絶望と記憶KAITO×NORA
第44話試験開始KAITO×NORA
第45話醍醐味KAITO×NORA
第46話作戦開始KAITO×NORA
第47話必殺の一撃KAITO×NORA
第48話全力の結果KAITO×NORA
第49話ルールの思惑KAITO×NORA
第50話閉会式KAITO×NORA
第51話/第一部完結優勝チームKAITO×NORA

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